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【RWC2015特別レポート】第1回 いよいよ開幕!RWC2015

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9月18日、第8回ラグビーワールドカップが幕を開けた。開幕セレモニーは、ラグビー発祥のエリス伝説の再現映像から始まった。手も足も使う原始的フットボールから、エリス少年が当時は許されていなかったボールを持って走る行為におよび、ラグビーが生まれる。そのエリス少年がトゥイッケナム競技場の外に現れ、ボールを蹴り上げると、巨大ボールが彗星のようにグラウンドに突き刺さる。ひび割れたピッチに道ができ、世界ラグビー界のレジェンドが次々に生まれていく。荘厳なセレモニーの中で、アルゼンチンのアグスティン・ピチョット、オーストラリアのマイケル・ライナー、ニュージーランドのショーン・フィッツパトリックなど歴戦の勇者が紹介され、テストマッチのトライ数世界記録を持つ大畑大介さんも登場し、全員でそれぞれが持つボールを天高く掲げた。ここが、開会式のハイライトだった。

 

 

ラグビーの歴史、力強さを端的に表現する演出は、簡潔でインパクトがあった。そして、ソプラノ歌手のローラ・ライトさんがRWCのテーマソングである「ワールド・イン・ユニオン」を高らかに歌い上げる。最後はイングランドラグビー協会のバイス・パトロンであるヘンリー王子、そして、ワールドラグビーのベルナール・ラパセ会長の開会宣言で、8万人の大観衆が沸き上がった。史上最大規模になると言われている大会の開会式は、英国だけで、約1,000万人が見たという。

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開幕戦のイングランド対フィジーは、スピードとパワーを併せ持つ両者の激闘となったが、最後は、35-11で地元イングランドが白星発進。しかし、その息をもつかせないスピーディーな展開は、今大会はどの試合も見逃せないものになることを予感させた。翌日、まずは、プールCのジョージアがトンガを17-10で下して、いきなりの番狂わせ。その数時間後、日本がとんでもないことをやってのける。1991年のジンバブエ戦以来勝ち星のなかった日本は、プールBの初戦で南アフリカ代表に渾身のチャレンジを見せ、この時点で世界3位、過去2度のRWCを制した相手を撃破したのだ。エディー・ジョーンズヘッドコーチが、この春からずっと「9月19日の南アフリカ戦でピークを迎える」と言っていた通りで、選手の動きもよく、終了間際、カーン・ヘスケスのトライで逆転する劇的勝利だった。その瞬間、試合が行われたブライトン・コミュニティースタジアムは警備員まで飛び上がる盛り上がり。アイルランドのサポーターがパブリックビューイングで狂喜乱舞する姿が後に伝えられたが、世界中のラグビーファン熱狂させる歴史的瞬間だった。

 

 

翌日のサンデータイムズ紙は、一面に日本代表の畠山健介選手が日の丸を掲げる写真を掲載し、「アンビリーバブル」の見出しで特集を組んだ。どの新聞も「ラグビー史上最大のアップセット」と報じた。イギリスらしいと思うのは、タブロイド判の大衆紙はサッカーが中心でRWCに割く誌面が非常に小さいこと。この国には、ラグビーに関心のない層もはっきりと存在することがよく分かる。しかしながら、この勝利は多くの人に勇気を与えた。ロンドンに25年も住むという日本人男性は、「勇気をもらいました。サッカーをやっている子供に、ラグビーを勧めます」と話し、すっかりラグビーの面白さに目覚めた様子。「円陣を組んで、みんなでやろうという感じがいいんですよね」。

 

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2003年のRWCでイングランド代表を優勝に導いたクライブ・ウッドワード氏は、日本代表の戦いぶりに感銘を受けたという。試合後、すぐに2003年の決勝で対戦したオーストラリア代表監督でもあったジョーンズHCに祝福のメールを送った。すると、「ホテルに来ませんか」の返信。これは、23日付のデイリーメイル紙に掲載された記事だが、「コーチ業をやめて以来、初めてコーチがやりたくなりました」と触発されたようで、日本代表の選手と笑顔で写真に収まっていた。

 

 

エディー・ジョーンズヘッドコーチは、現地の記者からの「勝利の価値」に対する質問に次のように答えた。「このスポーツ、ラグビーにとって素晴らしいことだ。グローバル化と口では言っていたが、これから先を考えてみれば、アジアの国がトップの国を倒したことで、本当に世界的なスポーツになった」。その言葉通り、日本が南アフリカに勝ったことで大会自体に火が付いた気がする。残念ながら、日本代表は2戦目にスコットランド代表に10-45で敗れたが、スコットランドの集中力は、かつて日本代表と対戦したどの試合よりも高く、サポーターの声援もすさまじかった。日本の歴史的勝利は、世界ランクで下位のチームに勇気を与え、強豪国のモチベーションアップにもつながり、サポーターの熱気すら高めている。これから決勝戦まで、過去の大会よりもさらに白熱したものになりそうだ。

 

 

ラグビーは身体接触の多い激しいスポーツだけに、感情移入して楽しむことができる。大きな選手にタックルをし続け、懸命に戦う姿を見るだけでも胸を打たれるだろう。一方で、RWCは超一流選手の集まりでもあり、華麗なステップワークでタックルをかわし、アクロバティックなパスでトライが生まれることも多い。日本の皆さんには、日本代表の今後の試合を応援すると同時にぜひ日本代表以外の試合も観戦し、4年に一度の世界一決定戦を堪能していただきたい。決勝戦は10月31日、本当に楽しい時間はこれから始まるのだから。

 

KOICHI MURAKAMI